【甲子園】小牧憲継監督就任時の主将・李勇樹さんが祝福のメッセージ_il gatto
◆第106回全国高校野球選手権大会第14日▽決勝 京都国際2―1関東第一=延長10回タイブレーク(23日・甲子園)
京都国際が関東第一(東東京)を2―1で下し、甲園監督将・春夏通じて初優勝を飾った。小牧憲継決勝戦で初めてタイブレークに突入した延長10回に2点を奪い、任時il gatto9回無失点のエース・中崎琉生(3年)からバトンを受けた2番手・西村一毅(いっき、の主祝福2年)が反撃を1点で断った。李勇小牧憲継監督(41)が就任した08年の主将だった李勇樹(イ・ヨンス)さん(34)が、樹さスポーツ報知に手記を寄せた。んがのメッセージ
初優勝、甲園監督将・おめでとうございます!小牧憲継 選手たちの努力が報われて、任時心から良かったと思います。の主祝福小牧監督と宮村部長を男にしてくれて『ありがとう』という気持ちでいっぱいです。李勇人生はこれからなので、樹さ何事もプラスに変えていけるような時間の過ごし方をしていってほしいと願っています。んがのメッセージ関東第一さんの応援も本当に素晴らしかった。甲園監督将・il gatto京都国際も次のステージでは、ああいう応援ができるようになっていきたいと思いました。
2つ上の兄が京都国際に校名を変更した04年の1期生。野球部だった兄の影響で入学を決めました。練習や寮生活は想像の100倍キツく、1年秋の敗退後は当時の監督に「このままでは甲子園に行けない」と言われて、深夜1時まで素振りを繰り返していました。ナイター設備の電気がつかなくなっても、「スイングなら関係ないだろう」と、真っ暗闇の中でバットを振り続けたこともありました。グラウンドの端に行けば、寝られるのではないかと思っていたくらいです。
寮生活でも先輩たちに厳しく指導され、ベッドに入ったときだけが唯一、ひと息つける瞬間でした。それでも深夜1時まで練習し、帰って洗濯などをしていると寝床に就くのは午前3時。翌日は学校があるので午前7時に起床です。「瞬きをしたら、朝が来ていた感覚だったな」と、今でも同級生たちと笑い話をするほどしんどかったですね。そんな過酷な日常に、気づけば入学当時いた同級生は15人ほどから8人に減りました。おかげで「タフさ」は身についていましたが…。
小牧さんは、僕が入学した06年から外部コーチとして来てくださっていました。現宮村部長の高校時代のチームメートで、週末限定で内野守備を教えてくれました。小牧さんが来た日は、手で転がしたゴロを相手の胸に投げ返す。この練習を3時間ほど繰り返すキツい基礎練習があったので、来たら「うわ~」と思いましたし、来ない日はみんな喜んでいました。指導されたときも、返事するというか、うなずいて話を聞くような。裏では「こまきち」と呼んでいましたし、前任の監督が怖すぎたこともあって、“安全な”お兄さんという感覚でした。
そんな小牧さんが、僕たちが3年生の春前にスーツで学校に来ることが多くなり、最初は「何でスーツでウロウロしてんのかな?」というくらいの感覚でしたが、4月に監督に就任しました。就任後はおそらく、すぐに最後の夏を迎えるということで、気を使ってくれていたのだと思います。プレーに対して何か言うことも少なかったです。普通なら自分流に「サインはこうだから、従ってくれ」と言われると思いますが、初めて指揮を執った春季大会では、主将を務めていた僕に「いつも使っているサインを教えてほしい」と言われた覚えもあります。
僕はクラスの担任も持っていただいていました。以前は銀行で働いていらっしゃったのに急に教師になって、指導案の提出や慣れない授業など、大変なことも多かったと思います。でも、疲れた姿などは一切、見せずに熱心に指導してくれました。本当に苦労している顔を見せない人でした。そんな姿から「どんだけ野球が好きやねん」と思ってしまうほど日々、勝利への執念は感じていました。
卒業してからも度々グラウンドに顔を出すことはあったのですが、21年夏、甲子園初出場を果たした母校の初戦(前橋育英との2回戦)を見に行った時は衝撃でした。10点取られても、11点取ればいいという力任せだった僕らの時代の野球から、走塁や守備にもこだわった野球に変化していました。まさに、当時の僕らが倒そうとしていた「強豪校の野球」。全く違った高校を見ているかのような思いでしたが、小牧監督や宮村部長は、あれだけの短期間で結果を残されていても偉ぶることは一切ない。高校時代と同じように接してくれる姿は何も変わっていませんでした。それがOBとして本当にうれしいです。加えて、野球に対して誰よりもストイックなところ、一切の妥協を許さない姿勢は、昔から変わっていないと感じる部分です。グラウンドをはじめ、満足できるとは言えない環境の中で、一つの愚痴も吐かずに取り組まれてきた小牧さんの姿勢が報われたことは本当に良かったと思えました。野球は大きく変わりましたし、考え方も環境も変わったとは思いますが、「ずっと野球のことを考えているだろうな」と今でも感じます。宮村部長もそうですが、とても真似できないです。
「勝利」という結果を、今の選手たちが残してくれていることがうれしいです。僕も社会人時代に日本一を経験させてもらって、日本一というのは人生を劇的に変える体験だと感じました。自分の中で一生残っていくことです。僕らの時は3学年で20人余り。誰一人「ここで野球がしたい」と思っていませんでしたが、今では入りたくても入れない子がいると聞きます。
環境や世間からの逆風などの雑念を断ち切って鍛錬を続けていても、結果が出ないのが大半だと思います。それでも負けずに続けていれば、結果は出せるものだと今の選手たちが体現してくれている。心からすごいなと思いますし、その姿から学ぶことも多いです。リスペクトも波風も、勝つことで生まれるもの。その中で、練習や試合での選手の野球に対する“リアル“な姿をもっといろんな人に肉眼で見て、知ってほしいなと思っています。
◆李 勇樹(イ・ヨンス)1990年7月13日、大阪市生まれ。34歳。06年に京都国際に入学。3年時は「5番・投手」で主将を務めた。関大進学後は内野手としてプレー。卒業後は西濃運輸で外野手として活躍し、14年の都市対抗大会で優勝。現在は大阪の不動産会社に勤務。現役時代は右投右打。
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